3065.呪いの電話
呪いの電話



小学校低学年の頃、俺は近所の仲の良い友達に誕生日会を開いて貰った。
昼飯を済ませてから集まる、というのがそういう集まりの慣例だったため、13時くらいからそれは始まり、俺達子供は外に野球をしに行った。
その日はギラギラと太陽が照って、酷く蒸し暑かったのを覚えている。
はしゃぎ回っていた俺達は、時間が経つのも忘れ、野球だけでなく、かくれんぼやだるまさんが転んだ等でも遊んでいたが、太陽が赤く傾いているのに気付いた。


そろそろご馳走の時間だというのを俺達は思い出し、親達が待っている家へ急いだ。
人数が結構居ることもあり、かなりのご馳走の数である。
ただ、まだ全部が終わっているわけではなかったらしく、まだ時間がかかるとのことだった。
ちょっとした時間暇になったのだ。
俺達子供はやることがなかったので思い思いの行動を取り始めた。
そんな時、俺はふと思い出した事をそのまま言ってみた。

「なぁなぁ、呪いの電話って知ってる?」

俺は特に仲の良かった亮介(仮名)に話しかけた。

「え、どんなの?」

戸惑い顔の亮介を連れて俺達は玄関にあるダイアル式の古ぼけた黒電話に向かった。
そこで取り出したのは幼馴染みの兄貴に貰った電話番号を書いた紙。

「この番号に電話をするとかけた電話が呪われるんだよ」

と紙をヒラヒラさせながら俺は亮介に言った。

「ふーん、じゃ、かけてみてよ」

ということでかけることと相成った。
まずその電話番号をダイアルする。
1コール目で相手が出る。
しかし・・・相手先は一切無言。
相手側には低く唸るモーターの音の様な物音がしているのみ。
そこで、電話を切る・・・5秒ほどしただろうか・・・
突如として黒電話は狂った様にベルを鳴らし始めたのである。
すっと受話器を耳にあてる

「もしもし?」

受話器から流れる音は先ほどのブゥーンという唸るような音のみ。
そこで受話器を元に戻しながら俺は言った。

「な、呪われただろ?(笑)」

亮介の頭の上には?が沢山出ていたので、それを解決させるために本人にやらせてみることにした。
やってみると本人は結構驚いていたが、同時に先ほどの『呪い』という言葉に過剰に反応してしまっていた。

「これってほんとに呪われるの?」

心持ち青ざめた顔をした亮介に俺は苦笑しながら否定した。
そこでちょっとした悪戯心で下一桁の番号を変えてダイアルしてみたくなった。
もしかしたら、似たような番号があるかもしれない。

「ちょっと番号変えてみようぜ。似たような事起きる番号あるかも知れないし」

亮介は怖がりな方なので嫌がっていたが、俺は躊躇せずに下一桁の番号を変えてダイアルしてみた。
すると、やはり同じように1コール目で相手が出た。
俺は内心やった!と思っていたが速攻でそんな気分は吹っ飛んでしまった。

「ゴォォォォォォー」

得体の知れない叫び声のような音。
何か動物が吠えているような生々しい質感・・・
背筋に寒い物が走り、俺は投げるように受話器を置いた。

「ガチャン!!」

・・・と、電話が鳴り出したではないか!
心臓の鼓動が早くなる。

「一緒に受話器の音を聞こう、どんな音するかな」

震えるような声で言った俺に亮介がうなずく。

「もしもし?」

呟くような声はほとんどうち消された。

「みぃーーーつぅーーーけぇーーーたぁーーーぞぉ!!!」

つんざくような太い哮り・・・そして哄笑。
真っ白になった俺達は凍り付き、哄笑あふれる受話器を取り落とした。
震える手で白いレバーを下ろし電話を切った・・・
誕生日は一転して最悪の日になった。
その後、一切変事は起こらなかったが、電話恐怖症になったのは言うまでもない・・・



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